普及事業(半額観劇会)
普及事業の発祥の地はニューヨーク・ブロードウェイにあります。ニューヨーク市が1970年代、不況と人心の荒廃によって都市としての魅力を失い、財政的危機とあいまって深刻な事態に追い込まれた時期に、市がその救済策のひとつとして世界の有数の劇場街であるブロードウェイの演劇を観光客誘致の手段とすることを考え、その方策を研究し、演劇をあらゆる側面から援助する目的でTDF(演劇振興基金)を設立しました。
1973年、TDF(演劇振興基金)は、「演劇」を市民すべての手に届きやすい、気軽に楽しめるものとするため、良質の舞台を低額の料金で提供することを目的としたTKTS(半額券当日売場・日本では半額観劇会)を開設したところ、この売り場が大きな反響を呼び、年々観光客も増加し、ニューヨーク市も再び活況を取り戻したのであります。このことは演劇、舞台芸術が都市文化のシンボルであることを立証したことで大きな意義があります。
このシステムの成功によってロンドン・ウエストエンドにハーフ・プライス・チケット売場が開設され、日本でも早くからこのシステムを調査・研究していた都民劇場と当協会とが協力してシステム導入方法を研究し、昭和60年4月、東京都、財団法人都民劇場、社団法人日本演劇興行協会三者が協議のうえ実務協定に調印し、半額観劇会は実施されました。
その後、財団法人東京都歴史文化財団、財団法人大阪府文化振興財団、財団法人名古屋市文化振興事業団、財団法人福岡市文化振興財団も参加し、東京、大阪、名古屋、福岡の4都市で年間20回実施され、都民、府民、市民からの強い支持を受け毎年、約8万人以上の観客がこの売場を利用しており、演劇愛好家の裾野は年々、大きく広がっております。