社団法人日本演劇興行協会
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外研修への助成は演劇業界に携わり、新しい分野に取り組む意欲を持つ人たちに、海外の文化、演劇を勉強する機会を提供するもので、この助成は、ふたつの目的をもっております。
 昨今の演劇界は、ニューヨーク、ロンドンの演劇、ミュージカルが数多く上演され、日本の演劇界も国際交流が盛んになっており、また舞台に対する本物指向の観客が増えている状況から、興行にかかわるプロデューサーはもとより、営業担当者も世界の演劇の源であるブロードウェイ、ウエストエンドの本場の舞台を自分の目で、耳で把握し、視野を広めることが求められる時代になっていることに鑑み、海外演劇の研究・調査を志望する者に研修の機会を提供することがひとつ、もうひとつはニューヨーク、ロンドンで舞台鑑賞するだけでなく、欧米の歴史、文化、伝統に触れることにより得た貴重な体験が各人の財産になり、その知識を持って日常の仕事に取り組めば仕事に対する意欲は充実し、新たな展開が期待できることであります。
 しかしこれを個人で実行することは容易でなく、この点を考慮して協会が海外研修の道を開いたことは、演劇業界の将来を見据えた事業として高く評価されております。 
 研修者が滞在中に調査、研究したレポートは『海外研修報告書』として編集されておりますが、演劇業界に従事する幅広い分野の人たちの演劇に関する情報は、協会の貴重な資料として保管しております。
 この事業により研修した者は、平成23年度までに423名に達しました。

 

平成二十三年度海外研修報告

株式会社博多座 吉丸惣一郎

ニューヨーク・ブロードウェイにて

以前より劇場に勤務する者として、いつかは本場のブロードウェイを体験したいと思っておりました。また、ある営業先の社長様にも「ニューヨークはエンターテイメントの街だから、人を楽しませる商売をしている人は一度行った方がいい」と勧められたこともありました。
今回お話をいただいたとき、私の拙い英語力で大丈夫だろうかと不安はありましたが、滅多に体験できない機会ですので、チャレンジ精神でブロードウェイだけでなくニューヨークの街自体も貪欲に楽しんで来ようと思い参加させていただくことに決めました。
簡単ですがこの一週間で感じたこと、体験したことを報告させていただきます。

ブロードウエイ

私が今回ニューヨークに行かせていただいたのは十一月末、例年であれば肌寒い季節のようですが、意外にも暖かく歩くと汗ばむほどの陽気でした。正味五日間のニューヨーク滞在でしたが、街はちょうど感謝祭からクリスマス・シーズンに替わる時期でお祝いムードに包まれ、街を歩くだけでも華やかなイルミネーションに心がウキウキする季節でした。

ブロードウェイでは六作品観劇しましたが、その中でも印象に残った作品は『BILLY ERIOT』と『CHICAGO』です。『BILLY…』はロンドン発祥の作品ですが、主人公のエリオット役の男の子の演技とダンスに圧倒されました。舞台装置は簡単なものですが、中央の丸いセリを効果的に使用しており、左右からタンスのように出てくるセットを出演者が引っ込める演出もシンプルですが面白いと思いました。一方、『CHICAGO』は話の筋よりも歌って踊って楽しませるブロードウェイらしい演目でした。セクシーなダンスが見どころの大人の演目という先入観を持っていましたが、先生に引率された中学生の団体も観劇に来ていて驚きました。

劇場

劇場内部について日本と異なり驚いたことはセキュリティが非常に厳しいという点です。9.11のテロを受けた都市なので仕方のないことではありますが、鞄や飲み物を持ち込んだ場合は必ず中を開けて確認されました。場内の案内スタッフも親切ではありますが日本ほど過剰なサービスはしないように感じました。
また、客層の点からいえば、ブロードウェイでは演目に関わらず実に幅広い年齢層の方々が来場されていました。男女比もほぼ半々。ニューヨーク観光のメインとしてドレスアップして来場されているような方もいれば、仕事終わりに映画を見るような感覚で気軽に観劇に来ている人もいました。日本では演劇に対して堅苦しいとか、特別なものという先入観を持っている方も多く、観劇人口は限定されているのに対し、ニューヨークという都市では演劇が娯楽の主役として存在しており、敷居の高さは感じられないように見受けられます。

私は団体営業を担当しておりますので、今回訪問するに当たりブロードウェイの集客方法などを知りたいと思っておりました。幸い、観劇チケットを手配する段階でブロードウェイの演劇事情に精通されている宮城氏をご紹介いただき、営業面での話を聞かせていただく機会を得ました。

宮城氏の話は要約すると以下のような内容でした。
・ニューヨークは世界有数の観光都市であり、ブロードウェイの劇場群はその中でも大きな 「売り」となっている。アメリカ国内・ヨーロッパだけでなく、近年はアジアとくに中国・韓国の団体客が増えており、団体をいかに取り込むかが公演の生命線となっている。
・ほぼ全ての劇場がロングラン形式を取っているが、それは常に観光客が多く訪れ、在住者も数年でほとんど入れ替わるニューヨークの土地柄に合ったものである。
・「ブロードウェイ・ミュージカル」は制作段階から日本を含む他地域で上演することも視野に入れており、賞を取ることやどれほどロングランを続けたかで、その演目の価値が決まる。そのため、主催者は最低限以上の集客がある限りは公演を続けようとする。
・日本と異なりチケット料金は常に変動しており、窓口で掲示されている料金のほか、団体割引・ニューヨーク在住者のみが適応される割引・TKTSでの当日半額チケットなど非常に多岐にわたっている。

マーケットの大きさの違いがあるものの、ブロードウェイでも団体というチャネルが下支えとなっている事を知り、私が担当している団体営業の重要性を再認識しました。また、少しでも多くのお客様にお芝居の面白さを伝え、演劇を身近に感じていただけるお客様を増やすことがいかに重要かを痛感いたしました。

最後になりましたが、今回大変貴重な機会をいただきました日本演劇興行協会様および関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。
暗い話題が多く演劇界にとっても厳しい時代ですが、今後もこの制度を続けていただけることを切に願います。

夜景

 
 
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